イバラード・ニューヨーク展レポート
IBLARD in New York 02-27/Sept.2003


9月5日にニューヨークに到着。
摩天楼と呼ばれるこの街のビル群。
それはまさしく現代建築の粋を集めたアートでもある。
建物に映されるその影は、オブジェとして美しく華麗に光り輝いている。
尖塔はクライスラービル。それとは対照的に右側にあるレンガ造りの建物もニューヨークのひとつの顔でもある。このように新旧がうまく混在するのもこの街の特徴でもある。それはあたかもクラッシックな芸術と現代美術が並存するのにも似ている。


光によって、その影は形を変え、周りの建物を自分のキャンパスに映し込む。その揺らめきはまるで蜃気楼のようだ。

今日は、この地で開催されているイバラードニューヨーク展に井上先生と共に向かう日だ。その集合時間の3時まで、美術館めぐりを楽しんだ。
画像は無いが、グッゲンハイム美術館をまず訪れた。ここにはピカソの初期の青の時代から晩年までの作品までが所蔵されている。その他にもミロやシャガールなどから現代美術のポロックまで、渦巻状の建築物にも特徴があり、その斜面にそって作品が展示されている。



メトロポリタン美術館は世界4大美術館のひとつ。こちらは明日皆さんと一緒に行くことになっている。この近くにフリックコレクションという美術館があり、きょうは、こちらへ行った。小さな美術館ではあるが、その内容は驚異的なものだった。世界に35点しかないフェルメールが3点も所蔵されている。そしてその作品の近くには、レンブラントの自画像、ヴァン・ダイク、ベラスケス、エル・グレコ、ターナー、ホイッスラー、ミレー、アングル、など名画ばかりが並んでいる。もう一度、のんびりと訪れたい美術館だ。



この日は、労働組合のパレードがあり、通りはにぎわっていた。
いかにもアメリカを思わせるような光景。むこうはセントラルパーク。






3時に集合して、送迎バスで会場のセーラムギャラリーへ。
この建物には、ギャラリーだけが集まっている。その一つが今回の会場だ。



天井の高い明るい会場に並べられたイバラードの作品群。






この地で見るイバラードの作品も格別だ。今回は特に選りすぐられた作品が揃っている。しかも大き目の作品ばかり。左のコズミックトリーはピエゾグラフ(デジタルプリント)でキャンパス出力した上にアクリルで加筆された作品。時として、このような形で、さらに発展することもある。



ニューヨーク在住のイバラードファンの所蔵となった代表的な古い作品のひとつ「町はずれの花火屋」。描かれている人物がミュージシャンのスパークスのメンバーだったと言うことで話題をかもしだした作品でもある。
今回は、この地で初めてと言うこともあり、珍しい作品も売りに出された。いずれも納得の行くまで描きこまれた傑作ばかりだ。



ニューヨーク展でなら・・・・と売りに出された「百貨店」と言う旧作品。
博物誌の表紙としてあまりにも知られた作品。30号の大きさだ。
この絵が売りに出された・・・と言うだけで驚く方も多いだろう。やはりこれも個人所蔵となった。東京からいっしょに来られた方だ。



前回のBunkamuraの時に、ゼロから会場で描き始められた「ラインチタイム」。以前のレポートをご覧いただければ、その違いがわかると思うが、かなり描きこまれている。こちらをご参照ください。



こちらも最近ではめったに見ることの無い作品。初期の傑作のひとつと言っていいだろう。「交信」大きさは10号ほどだ。異色を放つ作品とも言える。
これも個人所蔵に。



こちらもおなじみの作品。全面に緻密に描きこまれている。山水画を思わせるような構図。一見、純和風の庭園のようにも見えるが、これがイバラードの庭だ。



ウェイトレスが不思議な光る料理を運んでいる。奥にはニーニャや子供の飛行士もたたずんでいる。これは人物をテーマとして取り込まれた中でも自信作と言える作品のひとつだろう。それぞれの人物が語りかけてくる。



ギャラリーから見た外の風景。
このチェルシー地区は最近ギャラリーが増えてきた地域だ。以前はソーホー地区だったが、そちらが高級品を扱う店が増えてきたために、家賃などの維持費が高騰し、古いビルが立ち並ぶこのチェルシー地区に移ってきた。広いスペースさえあればギャラリーに早変わりする。日本だと取り壊されてしまいそうなビルもこのように再生されると新たな文化を生む原動力ともなる。



会場では、閉場の6時まで鑑賞者でにぎわった。
こちらにお住まいの方の質問に答える井上先生。



ホテルに戻ってからは、それぞれが夕食に向かう。
わたしは、ニューヨーク在住のイバラ-ダーのデコさんにご紹介いただいた寿司屋に向かうことにした。お手ごろ価格でおいしいお店だった。タイムズスクエア近くの「いろは」という名のお店。
その途中のロックフェラーセンターのカフェにある村上隆のオブジェ。こちらでもすっかりお馴染みのアーティストになっている。近年アメリカでのスポーツ選手の活躍やアーティストの活躍をはじめ、日本の輸出は産業だけでなく、アートも受け入れられてきたのは、目覚しい変化と言える。



夜の街に浮かび上がる高層ビル。イバラード展を見た後にこの風景を見ると、これらの風景もイバラードの景色として見えてくるから不思議だ。きっと近い将来、これらの景色は実際にイバラードとして密かに登場するに違いない。こうやってイバラード展の一日は終わった
最後に・・・好評ということもあり会期は、さらに2週間ほど延長された。










レポート  フクオカ
(毛利さんのレポートはこちら)